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ウイグル民話・桑の木陰 [20061201]


桑 の 木 陰


江上鶴也訳 『ウイグル民話集』より



 むかし、ある村に金持ちがいました。

 この金持ちの屋敷の門の側に、大きな桑の木が一本ありました。
 バザールを行き来するには、この金持ちの家の前にある大通りを通らなければなりませんでした。
 昼になると、金持ちの家の庭や縁側、家の前の大通りは桑の木陰になりました。

 夏の暑い日、道行く人達がその桑の木陰で疲れをいやそうとすると、金持ちが家から飛び出て来て、怒鳴るのでした。

 「おい、ここで何してるんだ。この木陰は俺様のものなんだぞ。行け、行ってしまえ。どこかよそへ行って休め」

 その村に、アップチラムという名の若者がいました。
 この若者は、いつも金持ちがいじわるしているのを見てひどく怒っていました。

 「くそっ。どうしたらあの憎ったらしい金持ちを、こてんぱんにやっつけられるかな」

 考えに考え、ついに、何か良い案が見つかったらしく、にっこりしました。
 でも、せっかく思いついた名案は、なかなか実行することが出来ず、時が過ぎていきました。

 秋が過ぎ、寒い冬になりました。
 寒いから家で火に当たって話でもしようと、友達を誘って世間話に花が咲くことなどありませんでした。
 あっちこっち駆けずり回り、森から枯れ木を取ってきて売り、残りの屑をカマドにくべて両親を養っていました。
 お腹がぺこぺこに減って、体が骨と皮になり、ついには骨の随までなくなってしまいそうになった頃、やっと春がやってきました。

 春の暖かい日差しを受けてタンポポが咲き、カッコーがさえずって春を告げました。
 戸外で子供達が元気に駆け回り、花を摘んだりして遊ぶようになりました。
 畑では心地よい歌声があちこちで聞かれ、村が活気付きました。
 アップチラムは道で友達と出会うと、前から考えていたことをいつかやろうと話し合いました。

 ある日、アップチラムがこんな歌を歌いながらバザールに出ました。


   バザールの道のりは遠い

   暑くて子供達が泣いている

   木陰で休もうとすると

   子供達を追っ払う

   この世界は広いという

   本当かどうか分からない

   掌ほどの土地もない

   木陰にさえ座れない


 アップチラムはちょうど正午になった頃、歩き疲れ、汗をかき、あの金持ちの門の前に来るか来ない内に、犬に吠え立てられて、うわーっと一声上げるなり桑の木陰に倒れ込みました。
 すると、いつものように金持ちが家から出て来て、アップチラムを怒鳴りつけました。

 「おい、貧乏人。どこから来やがった。こっちへ来い」

 「金持ちさん。ここは大勢の人達が通る路上じゃないか」

 「道は大勢が通っても、桑の木陰は俺のもんだ」

 「ちょっと休憩するぐらいいいでしょう。木陰がなくなるわけじゃなし」

 「当たり前だ、なくなるわけないだろうが。おい、お前。自分が桑を育てたような口を利くじゃないか。よく聞け、桑の葉一枚につき銀貨一枚の値打ちなんだぞ」

 「へえー。じゃ、あんたの話だと、おれは銀貨の陰にいるのかい」

 「そうだ、そういうことだ。お前のいう通りだ。しかしな、お金の陰には金持ちが座るんだ。お金があれば座れるがな、お前みたいな貧乏人が座れるもんか」

 「じゃ、お金があれば座れるのかい」

 「そうだ。当然、座ることが出来るがな」

 「そんなら、桑の木陰を売ってくれるんですか」

 「大きな口を叩く奴だな、お前は。早く行ってしまえ」

 「お金があると、ものを言うことが出来ることを知ってますか」

 金持ちは、この若者の問いに詰まってしまいました。
 若者はお金があるらしい口振りなので、金持ちはお金のことを考えながら、しばらく黙っていました。
 ケチで貪欲な金持ちは、辛抱しきれず口を開きました。
 早速、木陰の値段を交渉しだしました。

 「金持ちさん、交渉なんか簡単じゃないか。あんた、立会人を呼んで来ればいい。おれも友達一人二人呼んで来るから。それから、契約しようじゃありませんか」

 「お前の話が本当なら、急ぐことはない。まず、値段交渉だ。今すぐ決めようじゃないか。それから、手付け金を払ってくれたら後は簡単だ」

 二人は、ああだこうだと値段を掛け合った末に、ようやく桑の木陰の値段が四百銀貨と決まりました。
 アップチラムは五十銀貨を手付け金に払い、領収書をもらいました。 そして、契約の立会人になってもらうため、友達を呼びに行きました。

 「神様の罰を受けたバカ野郎め。今度は俺様の罰を受けさせてやるわい。まったく、良い獲物じゃないか。わっはっはー」

 金持ちは大喜びで、口が耳にくっついてしまうぐらい大口開けて高笑いしました。
 早速、金持ちはモスク(イスラム寺院)の坊さんに契約書を書いてもらうために、使いをやらせようとしました。
 しかし、この話を誰にも知られないようにするには、自ら出掛けて行って、坊さんを丸め込まなければならないと考え、使いを呼び止めました。

 次の日、アップチラム側と金持ち側のそれぞれ関係者が集まり、桑の木陰の売買契約を取り交わしました。

 『アッラー(イスラムの神)の御名において、我々は立会人である……』

 坊さんが契約書を書き始めました。
 そして、最後に、

 『私ことサライは、衆人の面前で私の大きな桑の木陰をアップチラム氏に四百銀貨で売りました。桑の木が枯れてなくなるまで、桑の木陰をアップチラム氏本人、または親族、友人はいつでも好きな時、自由に利用出来ます。万一、これに小生、または小生の子孫が不満を表し訴訟すれば、衆人の面前でコーラン(イスラム教典)に基づき解決されるものとします』という内容が記載されました。

 売り手と買い手それに立会人達が、サインを終えて契約が成立しました。

 「おめでとうございます。アップチラムさん。あなたのような宿無しの人間が、お金持ちのサライ旦那の門前の、このようなすばらしい財産の所有者になられたのは、これ全て神様の賜物です。あなたの頭上に桑の陰ではなく、サライ旦那の陰が落ち……」

 坊さんはもらった礼金を懐に入れながら金持サライ旦那にゴマをすり、にこにこ顔でそそくさと帰って行きました。
 坊さんが金持ちサライ旦那からどれぐらい証文代をもらったかは不明ですが、とにかく桑の木陰の契約を終えました。

 日増しに日差しが強くなってきて暑くなりました。
 アップチラムはバザールへの行き帰りに、自分が所有している桑の木陰で休み寝そべりました。

 ある日、友達とラワップ(弦楽器)を弾き歌っていると、金持ちサライ旦那が家から出て来て怒鳴りつけました。

 「おい、お前達。何をがやがや騒いでるんだ。うるさいじゃないか」

 アップチラムは物怖じせず、負けずに金持ちサライ旦那をにらみつけながら言い返しました。

 「桑の木陰はおれ様のもんだ。木はお金持ちの旦那のだけどな」

 「タマネギの皮は多し、バカの友達の如しってな。この罰当たりが。お前の親類は犬の回虫のように多いな」

 金持ちサライ旦那が悪態を吐きましたが、木陰を売ってしまった以上、誰一人も追い出すことができず、金持ちサライ旦那は口ヒゲを咬み咬み地団駄踏みました。
 そして、とうとう頭に来て、斧を持ち出して来て、桑の木を切り倒そうとしました。
 しかし、激怒していたので、力いっぱい斧を振り回したものの、手元が狂い空振りしてしまいました。
 もし、本当に桑の木を切り倒していたら、木陰代を弁償するはめになるところでした。
 どうすることもできない金持ちサライ旦那は、更にひどく腹を立て嘆き悲しみました。

 ある日、金持ちサライ旦那が縁側で臭い息を吐き出し、ぐーぐーいびきをかきながら昼寝していると、アップチラムが友達と一緒にロバを連れて中庭に入って来ました。
 これに気付いた金持ちサライ旦那は、驚いて飛び起き、大声張り上げました。

 「おい、こらー。何だお前達。どういうこった。何でお前達、おれ様の庭に入り込んで来たんだ。この貧乏人どもが。とっとと出て行けー」

 せっかくいい気持ちで寝ていたのを、憎いアップチラム達に邪魔された金持ちサライ旦那は、猛烈に怒り、ヒゲをぴーんと逆立て、口からアワを飛ばしてアップチラムに飛びかかろうとしました。

 「おっと、お金持ちのサライ旦那さん。我々の木陰が旦那さん家の中庭の方へ行ったもんで、我々もやって来たんです」

 アップチラムは落ち着き払って、ロバをつなぎ、上着を脱いで堂々と木陰に座りました。
 金持ちサライ旦那は、くそったれと一声発すると、まるで、自分で自分の肉を食べたかのようで、怒りが頂点に達しぶるぶる震え、顔を真っ赤にしました。

 ある日、金持ちサライ旦那の嫁さん達が縁側で化粧をしていると、子供達が泣きながら中庭に駆け込んで来ました。

 「痛いよー、痛いよー」

 子供達はほおに手を当てて地面にしゃがみ込み、大声上げて泣きじゃくりました。

 「んまー、私の大事な子羊ちゃん。いったい、どうしたの。誰が叩いたの」

 驚いた母親達が泣き叫ぶ子供達の側に駆け寄って抱きしめ、なだめながらたずねました。

 「桑の木陰で座ってるロバを連れた人達が、木陰の近くに来るな、バカ野郎って言ったの。うわーん。痛いよー。桑の木に近付こうとしたら、木陰になってない所から近付けって言ったの。うわーん。痛いよー。ねえ、お父さんはどこ。うわーん。痛いよー」

 「んまー。あの死に損ないの貧乏人達ね。いつか殺してやるから。ほんとに欲張りの人でなしね。お金になるなら私達をも売ってしまいかねない人達だわ。泣かないで、いい子だから。そう、お父さんが帰って来たら、きっと仕返ししてもらいましょうね」

 金持ちサライ旦那の家の騒ぎをよそに、外ではアップチラム達がラワップを弾き鳴らし、随分遅くまでわいわい騒いで盛り上がっていました。

 ある日の昼下がり、金持ちサライ旦那が外出から帰って来ました。
 疲れている上にとても暑く、へとへとで倒れてしまいそうでした。
 大汗をかき、口を大きく開け、ほおを真っ赤にしてふくらまし、はーはーふーふー言いながら家の門をくぐろうとしました。
 しかし、門はちょうど桑の木の陰になっていて、家に入ろうとする金持ちサライ旦那を、木陰でのんびり昼寝していたアップチラムが呼び止めました。

 「おーい。お金持ちの旦那。ちょっと待って下さい。お金を持ってる人だけが木陰を利用できるんですがね」

 アップチラムは桑の陰になっている門を指差しました。
 金持ちサライ旦那はアップチラムが何を言ってるのか分からず、しばらく口をぽかーんと開けたままで、暑い日なたに突っ立っていました。

 「俺の家に入るのに、金を払えというのか。お前は、何を言っとるのだ。バカもんが」

 金持ちサライ旦那は疲れているのも忘れるほどひどく怒り、アップチラムをにらんで怒鳴りつけました。

 この騒ぎを聞き付けた通行人達が立ち止まり、集まって来てアップチラムと金持ちサライ旦那を取り囲みました。

 「よーし、木陰を買って通ってやる。いったい、いくらで売るんだ。早く答えろ」

 金持ちサライ旦那は取り囲んでいる人達を気にしながらも、偉そうに言いました。

 「五十銀貨だ」

 「五十銀貨じゃ安いぞ」

 「金持ちなら五十銀貨ぐらい何でもないぞ」

 群がって二人を取り巻いている野次馬達がアップチラムに加勢して、それぞれ口々に勝手なことを言い合い、ことの成り行きを面白そうに見守っていました。

 金持ちサライ旦那は内心まずくなったと思いました。
 大勢見守る中で値切るわけにもいかず、バカにされるのを嫌がり舌打ちしました。

 「五十銀貨だな。今すぐ持って来るから待ってろ」

 金持ちサライ旦那は、馬をつなぐと、偉そうにして野次馬達を押しのけ、家の中に入って行きました。
 アップチラムはタバコ銭が戻って来たので喜びました。

 「アップチラム、よくやった。金持ちからもっとぶんどってやれ。頑張れよ」

 桑の木陰を買ったバカな男だと、アップチラムをバカにしていた人達は、やっとアップチラムの魂胆が分かったようで、アップチラムの肩や背中をたたき激励しました。

 金持ちサライ旦那は、今後こんな大きい支出を出さないために、また自分や家族が安心して通れるようにと、さらに五十銀貨を支払いました。門に落ちる木陰を買い取ったので何とか人心地つきました。

『賢い』金持ちサライ旦那は、『バカ』のアップチラムから、この後どんな仕打ちがあるのか思いも知りませんでした。

 あるバザールの日、金持ちサライ旦那はまちの友人達を食事に招待しました。
 大きく桑の木陰が覆い被さっている縁側で、食事を始めようとしていた時、アップチラム達がロバを引っ張り、靴をずるずる言わせて中庭に入って来ました。

 アップチラム達が何をしに来たのかを知った金持ちは、縁側にある木陰をちらっと見てしかめっ面をし、空を見上げてノドを動かしながら溜息吐きました。

 何にも知らないお客達は、金持ちサライ旦那の様子がおかしいので、今にも笑い出す寸前でした。
 お客の一人は、中庭に入って来たアップチラム達を使用人だと思い、金持ちサライ旦那に言いました。

 「さあ、サライさん。この人達に何か言って下さい。ロバを向こうにやらせて下さい。何かまだ仕事があるんですか。どうしたんですか。どうして何も言わないでじっとしてるんですか」

 お客達は食事の邪魔をされたので気分を悪くした様子でした。

 空を見上げ、しきりに何かを考え込んでいた金持ちサライ旦那は、良い考えが浮かんだらしく、お客を気にしながらアップチラムに小声で言いました。

 「神に誓って言うが、何かあるんだったら後で話し合うことにしようじゃないか。さあ、あんた達もお客だ。あっちに座って食事をしてくれ」

 「お客さんをどこでもてなししてもいいけどね。俺達は何にも頼んでないよ」

 アップチラム達はロバを桑の木陰になっている柵につなぎ、上着、靴を脱いで座りました。

 「食事がまずくなった」

 お客は食べるのを止めてしまいました。

 「食べるのを止めたのは、あんた達の勝手だけどね。でも、俺達が四百銀貨で買った桑の木陰にあんた達が座ってるんだ。いったい、どうしてくれるんだ」

 他聞をはばかっていたのを、アップチラムにばらされてしまった金持ちサライ旦那はひどく頭に来て、アップチラムとわーわー激しく言い争いました。

 「ほう、日頃、俺達に大きい口を叩いてるサライさん。秘密を知られてしまったな。口ほどにもない人じゃないか」

 お客達は嫌みを言い、日頃の恨みを晴らしたかのように含み笑いをするだけで、金持ちサライ旦那に助け船を出そうとはしませんでした。
 それぞれ逃げるようにして、まちに帰って行きました。

 金持ちサライ旦那は大恥をかき、恥ずかしさのあまり背中が痛み出し激しく泣きました。

 アップチラム達は木陰でしばらく休んだ後、してやったりとにこにこ顔で帰って行きました。

 この事件の噂が瞬く間にまちに広まりました。
 口から口へ、耳から耳へと伝わっていきました。
 その上、この事件の日にアップチラムが桑の木陰の契約書を書き写して、バザールにある大きなモスクの前に貼り付けたので、この事が人々に知れ渡りました。
 それで、金持ちサライ旦那は恥ずかしくて家から一歩も外へ出られず、ただ様子をうかがっていました。


   野生の桑の木陰を

   銀貨で売ったお金持ち

   家から一歩も出られずに

   ネズミになったお金持ち


 と、道行く人達が歌っているのを、金持ちサライ旦那は聞くのが嫌でした。
 それでも、時がゆっくり過ぎて行き、人々の噂話も少し落ち着いたようでした。

 ある日の夜、金持ちサライ旦那が死んだように眠っていると、屋根がぎいぎい音を立て、しばらくすると歌声とラワップの音が聞こえてきました。

 嫁さんに叩き起こされた金持ちサライ旦那がぼけーっとして庭に出てみると、犬が寝転がって何かをしきりに咬んでいて、金持ちサライ旦那の方をちらっとも見ようとしませんでした。
 家に入れば嫁さん達から、うるさいから何とかしろとぶつぶつ言われ、寝かせてもらえませんでした。
 それで、金持ちサライ旦那は仕方なくハシゴを使って屋根に登り、いったい何が起こったのかと覗き見しました。
 見ると、牛乳のような月の光に照らされて、アップチラムと仲間達がわいわい騒いでいました。
 金持ちサライ旦那は驚きのあまりハシゴから落ちてしまうところをやっとのことで持ちこたえ、アップチラム達を怒鳴りました。

 アップチラムは平気な顔して、

 「俺達、買った桑の木陰に座ってるんだ。他には誰もいないよ。どうぞ、安心して家に入って寝て下さい。旦那」と言い返しました。

 金持ちサライ旦那は歯をガチガチ咬み鳴らし、苦り切った顔して、

 「俺は桑の月影までは売っておらんぞ」と怒鳴り返しました。

 「何を寝ぼけたことを言ってるんですか。家に入って、よーく契約書を読んで見て下さいよ。いつでも好きな時、自由に利用出来るという所があるはずですよ」

 アップチラムは金持ちサライ旦那を言い負かしたので、得意になってラワップを弾き歌い始めました。

 金持ちサライ旦那は家に入って何か名案が浮かばないかとしきりに考えましたが、嫁さん達が早く屋根の連中を追っ払えとせかすので、考えがまとまりませんでした。
 それでも、一生懸命に考えた末、ようやく妙案を思いついて、またアップチラム達のいる屋根に登って行きました。

 「おい、それじゃ、桑の月影を俺に売ってくれないか」

 金持ちサライ旦那の考えに考えた、《アップチラム達を屋根から追い払う方法》を話しました。
 金持ちサライ旦那はずる賢く、ああだこうだと言い、やっとのことで桑の月影を三百五十銀貨で買い取りました。
 金持ちサライ旦那はそれでも安心出来ず、また考え込みました。

 「外出すれば、世間や商売相手からバカにされ笑われる。家にいても嫁さんや子供達からバカにされ笑われる。またお金が出て行く……」

 金持ちサライ旦那は、考えれば考えるほど、もう何もかも嫌になりました。
 その上、貧乏人達が今夜しでかしたことにお金を使い過ぎて、心臓はどんどん打ち鳴り、血が駆け回ったので寿命が縮まってしまいました。

 「月影を買い取ったことが知れ渡れば、また何を言われるのか分からんぞ。アップチラム達が、今後、またどんな手を使って私を苦しめるのか分からん」

 金持ちサライ旦那は、迷うことなく荷物をまとめて、よその土地へ引っ越して行きました。

 こうして、桑の木陰は人々の手に入りました。

 暑い日、誰でも自由に桑の木陰で休めるようになりました。

 アップチラムがあの意地悪な金持ちサライ旦那に仕返ししてくれたので、村の人々は大喜びでバザールを行き来しました。

(了)



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2006-12-01(Fri) 19:50 民話 | 編集 |


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